ASD・ADHDなどの発達障害で「障害者手帳」を取得するメリットは?〜税金編〜

前記事「ASD・ADHDなどの発達障害で「障害者手帳」の取得はできる?」で書いたように、ASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)の方は「障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳または療育手帳・愛の手帳)」の取得が可能です。

この「障害者手帳」は、単に自分が障害者であることを提示できるだけではありません。税金や公共料金の控除・免除や、障害者枠での雇用など他に様々なメリットがあります。

今回は「障害者手帳」を取得することで得られるメリットについて、「税金」に絞って詳しくご説明いたします。

「障害者手帳」の取得で税金の控除が受けられる

「障害者手帳」を取得することで、下記の税金の控除が受けられます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 自動車税

1)所得税・住民税

納税者本人、または配偶者や扶養家族が障害者手帳を取得している場合、手帳の等級(1級・2級・3級)に応じて障害者控除が適用されます。

控除区分条件所得税控除額住民税控除額
障害者控除障害者手帳を所持している27万円26万円
特別障害者控除障害者手帳の種類が下記に該当する
・身体障害者手帳1級・2級
・療育手帳・愛の手帳1度・2度
・精神障害者保健福祉手帳1級
40万円30万円
同居特別障害者控除納税者の配偶者・扶養家族が特別障害者で、納税者本人と同居している75万円53万円

2)相続税

相続人が障害者手帳を取得している場合、障害者控除として、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者のときは20万円)が相続税額から差し引かれます。

3)贈与税

特別障害者が信託会社等における「特別障害者扶養信託契約」により、受益権を有することとなったときは、一定の要件により6,000万円まで非課税となります。

条件控除額
特別障害者障害者手帳の種類が下記に該当する
・身体障害者手帳1級・2級
・療育手帳・愛の手帳1度・2度
・精神障害者保健福祉手帳1級
6,000万円
特別障害者以外の特定障害者障害者手帳の種類が下記に該当する
・療育手帳・愛の手帳3度(中度)・4度(軽度)
・精神障害者保健福祉手帳2級・3級
3,000万円

4)自動車税

療育手帳・愛の手帳の等級が最重度・重度、精神障害者保健福祉手帳1級および自立支援医療受給者証を持っている方は、所持している自動車税の減免を受けることができます。
(※各自治体によって条件が異なる場合があるため、詳しくは各自治体のホームページをご確認ください。)

手帳をお持ちの方は、各市町村の窓口で申請を

このように、障害者手帳を取得することで、各種税金で控除・減免を受けることができます。ASD(自閉症スペクトラム)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)のような発達障害では、身体障害・知的障害を併存していない限り精神障害者保健福祉手帳を取得するケースがほとんどですが、一番等級の小さい3級でも各種税金で控除・減免を受けられるので、手帳をお持ちでまだ控除・減免を受けていない方は、各自治体の窓口にご申請ください。

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