【NPO法人を運営して感じること】NPO法人の代表になった経緯 #4

NPO法人の代表になった経緯③


皆さんこんにちは川崎良太です、前回の記事では人生に絶望したりトイレを何回も漏らしたり 、なかなか苦しい経験をした私をお届けしました。今回の記事ではようやく自立にたどり着きます。さらには障害者の自立がどういったものかについてもお話できればと思います。それではスタート!

第三回目をまだ読んでない方はコチラから


実家からてくてくがある鹿児島市内までは車で1時間、電車で1時間とかなり距離がある。自立の勉強は主に Skype を使って行なった、そして月に1回は事務所へと通った。

この時はヘルパーさんがついていないので JR に乗るのも無論一人であったが、重度障害者が一人で行動するとろくなことがないように思う。頭が倒れて人に助けを求めたり携帯を落として人に助けを求めたり慣れない駅員さんの手つきにヒヤヒヤしながらスロープを降りたりそういったことにエネルギーを費やさないといけない。

思いやりや人の優しさと言ってしまえば格好がつくことだが、障害者がお願いをするということにどれだけエネルギーを費やしており、気を使っているかというのは前回の記事でもお話ししたと思う。必死の思いで事務所についてもそこにはヘルパーさんがいるにも関わらず動かない手でサンドイッチを必死に食べようとしていたり、障害者は自分のできることは自分でしなければならないとお経のように子供のころから唱えられているのでどうしてもその癖が抜けない。その癖が抜けない一番の困りごととしては、生活をする上での時間数の獲得である。

時間数とは簡単に言えば、重度訪問介護要する時間である。前述している通り私は自分の足で歩くことも車椅子を漕ぐことも食事を自分で自分の口に入れることも、入浴をすることもトイレをすることも全くできない身体状況である。そういった重度なものが自立をするとすれば常に人が近くにいてサポートしてもらわないと生活が立ち行かないどころか命が守られない状況になってしまう。命が守られないと書けばかなり大きく聞こえるが、この理由が簡単に通らないのだ。

障害者が自立生活をしようとするとその説明に市役所に行く。そして重度訪問介護1日24時間使いたいです、と言うと、窓口の人はそんなにたくさんの時間は出せませんよ、施設に行ったらどうですかと提案をする。窓口の人が悪いわけではないのだが障害者が当たり前のように地域で生活しようとすると誰も行きたくないであろう施設を簡単に説明されてしまう状況が当時にはあった。 権利とは何だろう、と天を仰ぎたくなるがそうもしてられない、生活するためにはヘルパーさんに入ってもらわないといけないのである。そこで大事になってくるのが自分にどれだけヘルパーさんの力が必要かということを肌で感じてそれを行政に伝えるという行為だ。私は自立を目指した当初、代表の吐合にどれだけ介助が必要だと思う?と聞かれ、1日10時間ぐらいですかねと答えていた。自分で自分を殺してしまうような発言だが当時の私は真面目に答えていたと思う。生活をすること、また健康を守っていくというところが自分で生活をしたことがない障害者には分からない部分である。その部分をてくてくはじめ全国の自立生活センターは宿泊体験等を通して学んでもらうのである。

宿泊体験を何度か繰り返し、経験を積んだ私は(月曜日に作ったカレーをそのまま冷蔵庫に入れ何回も温め直し木曜日まで食べていた、それを同級生に見つかりドン引きされるという経験もした)市役所に行き、自分の身体状況や生活に必要なことを伝えた。本来聞かれなくていいはずのなぜ自立生活をしたいのかという問いにも、社会の役に立ちたいなどといった、とってつけたような理由も言っていた記憶がある。しかしこれは障害者にとっては生きるか死ぬかの問題である。行政とそのあたりの認識が食い違っているだろうけれどもそこに意識を向けてはいられない、とにかく時間数を得ることが最優先であった。かくして、てくてくの力をたくさん借りて私は自立生活を開始することができた。

築4年の綺麗なアパートである、家賃が高いのはネックであったが綺麗なところがいいと若干21歳イケイケの私は思っていたのである。後に貯金が尽きて引っ越しを余儀なくされることはほろ苦い記憶だ。自立生活は大変だけれども楽しい、もうトイレを失敗することもないし毎日食べたいものが食べられる、自立した最初の夜食べたもの今でも忘れない、手作りお味噌汁と出来合いの唐揚げである(またでた)、好きな時に好きな所に行ける、好きな人に会いに行ける、そうした翼を手に入れた僕は自由になったんだと思っていた。

しかし有り余る自由は私を苦しみに追いやっていった。 その苦しみがまた人生を変えるものになるとはこの時思いもしなかった、続く。

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