こころの問題からおこる心気症にどのように向き合っていけばよいのか?

はじめに

気症は、特に身体的に何も問題ないのに精神的なストレスが原因となって自分が重篤な病気にかかっているとパニックになってしまう病気です。

別名「身体表現性障害」と言われ、主に若年期の方に多い病気です。

今回は、心気症とどのように向き合っていけばよいのかということをふまえて、心気症の治療法について考えていきたいと思います。

心気症の治療について

心気症(身体表現性障害)は、こころだけの問題ではなく身体的にも症状が見られることが多いので、心身両面から治療を進めていくことが原則です。

なぜなら、人間の心と身体は密接に関わっており、切っても切り離せない関係だからです。

心気症は、主に自身の身体が重篤な病気にかかっていると思いこむことで日常生活がうまく過ごせなくなるといった症状がありますが、多くの心気症の方にストレスの蓄積からうつ病や不安障害などの精神疾患を合併しています。

そのため、まずは合併症の治療をしていくことが重要になってきます。

うつ病を始めとした精神疾患の薬には以下のようなものがあります。

抗うつ剤
抗不安薬(精神安定剤)
睡眠薬
抗精神病薬
気分安定薬 など

この中から抗うつ剤と抗不安薬(精神安定剤)についてまとめていきます。

~抗うつ剤(SSRI・SNRI・NaSSAなど)~

主にうつ病の方に使用される治療薬ですが、心気症の方の中でも抑うつ症状や不安感が強かったりなどの症状と自身の病気に対する思い込みが非常に強かったりする場合には使用されることもあります。

セロトニンという副交感神経を刺激する物質の分泌を促すので、不安感や焦燥感の症状を抑制できます。

抗うつ剤は、感情の起伏などのこころの過敏さをやわらげて、不安や落ち込みを少しずつ軽減していく効果が期待できます。

SSRIの種類
セルトラリン
エスシタロプラム
パロキセチン
フルボキサミン

SNRIの種類
サインバルタ
イフェクサー

NaSSAの種類
リフレックスなど

~抗不安薬~

抗不安薬は、GABAという脳内において抑制機能として働く物質の活動を促進するので脳の過剰な活動を抑制します。

脳が興奮状態にあると落ち着きがなくなったり、喜怒哀楽が激しくなったりするので、脳の興奮状態を抑えることで結果的に不安や緊張を和らげる作用があります。

抗不安薬の種類
メイラックス
ジアゼパム
リーゼ
ソラナックス
ロラゼパム
デパス など

抗うつ薬も抗不安薬も効果として期待できる薬ですが、良くなりたいからと言っていたずらに多くの量を投与することは危険です。

逆に薬に依存してしまい、薬物中毒のリスクが高まります。

症状が落ち着いてきたら薬の量を減らし様子をみること、これが薬の効果を最大限に引き出すために有効な治療法です。

薬物療法以外の治療法について

心気症の方の治療は薬ばかり投与していてもなかなか症状は改善していきません。

話をよく聞いたりその方の生活背景を探ったりすることで、なぜ心気症になったのかを理解して原因を究明していくことが症状改善につながっていきます。

~心理療法~

心理療法には認知行動療法と森田療法という治療法があります。

心理療法は主に臨床心理士が専門家となり介入していきます。

認知行動療法

認知行動療法とは、対象となる患者さんの物事の捉え方を把握し考え方を良い方向へと向けていく治療法です。

人間は生きていく中で良いことも悪いことも含めて様々な経験を重ねて生きていきます。

そういった経験を積み重ねることで人との関わり方や感情表現の仕方などの社会性を身に着けていきます。

心気症の方は、その認知のあり方に偏りがあるためにこころのあり方に大きな影響が出てしまい、精神的な症状がみられるようになってしまいます。

認知行動療法は、そういった認知面の偏りを軽減し本人の心に寄り添いながら少しずつ問題を解決していく治療法です。

まずは自分自身の問題になっていることや葛藤、何がストレスなのかを知り、そのストレスとどのように向き合っているのかということを本人が理解する必要があります。

本人がストレスに向き合うことができたら、今度はどのようにすればストレスを感じないようになるのか、そして何をすることがストレス解消につながるのかという考え方に変化させていきます。

自分と向き合うことが認知行動療法の大きな治療法の一つです。

森田療法

森田療法は、認知行動療法のように考え方を変えようとするアプローチの仕方ではなく、ストレスを感じてしまうことは当たり前のことだという考え方や、これだけ頑張っているのだから緊張してしまったり動悸がみられるようになったりすることはしょうがないことだといったような考え方にもっていく治療法です。

ストレスの原因を消そうと思っても、ますますその感情に振り回されてしまう場合があり、逆に改善できない自分により激しく感情的になってしまうといった悪循環に陥ってしまいます。

心気症の方は、心のコントロールがうまくいかないことや重大な病気への不安を抱えていますが、逆に自分の中でなぜ解決できないのかという葛藤を常に抱えている状態なのです。

森田療法は、今のそういった状況を無理やり無いものにするのではなく、そういった感情になってしまうことは人間なら誰しもあり得ることだという考え方に治療方針を向けていきます。

つまり自分とはどういった人間なのかというありのままの自分を認めることで、自分というものを見つめ直し感情をコントロールできるようにしていきます。

まとめ

心気症の治療は、心身ともにケアを行っていくことで少しずつ症状が軽快していきます。

うつ病といった精神症状を合併している場合は、まず合併している症状を軽減していくことが必要で、抗うつ剤や抗不安薬といった薬物療法を行いながら症状に合わせて経過をみていくことが重要です。

また、薬物療法のみで症状が改善することは難しく、むしろ薬物依存などの問題が出てくるリスクがあるので、心の問題の専門家である臨床心理士が行う心理療法も併用して治療を行うとより効果的です。

心気症の治療は本人のこころの問題と向き合うことです。

自分とはどういった人間なのか、ありのままの自分を見つめ直すことが心の問題の解決の最善策となります。

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