
目次
はじめに
近年、障がい者の方が何かしらの助けを必要とすることを周囲に伝える手段として「ヘルプカード」が注目されてきています。
しかし、逆にそれを悪用することで転売などが行われるなどの問題も出てきています。
そこで、今回はヘルプカードとはどういったものなのかということと、それを転売するなどの悪用の問題について考えていこうと思います。
ヘルプカードとはどういったものなのか

ヘルプカード(地域によってはヘルプマークと言う場合もあります)は、何かしらの援助や配慮を必要としていることが外見からは分かりにくい障がい者の方たちが、周囲の健常者の方に配慮を必要としていることを知らせる目的で作成されたものです。
そのため、このカードがあると何かしらの配慮が必要であるということが一目で分かるので、電車やバスなどの公共交通機関を利用するときやスーパーマーケットで買い物をするときなどに援助してもらいやすくなるとても便利なカードです。
ただ、あくまで外見で障がいがあると一目で分からない方が使用するカードなので、例えば脳性まひなどで車椅子を使用している場合には該当しない場合もあります。
利用できる方は、義足や人工関節を使用している整形的な疾患の方、心臓や腎臓などの内部機能障害や難病の方、病気ではないけれども妊娠初期の段階で明らかに見た目では妊婦と分からない方、そして見た目では分かりにくい知的・情緒・社会性の問題を抱える発達障害の方、うつ病や統合失調症などの精神障害がある方などの、外見からは障害の有無がわからない障がいを持った方たちが対象となります。
見た目では障がいがあると分かりにくいために、電車の優先席に座ることができなかったりなどの場合にヘルプカードがあると配慮してもらいやすいなどの利点があります。
以下にヘルプカードの配慮の例を挙げていきたいと思います。
~バスや電車内で、優先席を利用しなければならない場合~
外見からわからない障害や病気があって、バスや電車内で立っていると疲れやすかったり、バランスがうまくとれなかったりということがあります。こんなときにヘルプカードをつけていると、周囲に何かしらの配慮が必要であるということが分かるので優先席にスムーズに座ることができ、誤解をうけたりつらい思いをしたりすることがなくなります。
~急に倒れてしまうなどの緊急事態の場合~
ヘルプカードは、裏面などに緊急時の連絡先として家族の連絡先やかかりつけの病院の電話番号の他に薬の投薬法などの緊急時に必要な支援内容を記載することができます。
例えば、てんかんなどでその場に倒れてしまったときに家族がいないと大変なことになってしまいますが、ヘルプカードをつけていれば周囲の人がかかりつけの病院に連絡してくれるなどの対応をしやすくなります。
ヘルプカードはそういった意味で障がい者の方が一人でも出かけることが出来る可能性が高まるので、自立支援を促進する効果もあると思います。
~発達障害のある子どもがいなくなったり迷子になってしまったりした場合~
知的・情緒・社会性などの問題がある発達障害のお子さんは、急に飛び出したり注意がそれたりすることで迷子になってしまうことがあります。
迷子になった時に自分から周囲に話しかけるなどの行動を行えるお子さんであれば問題ないかもしれませんが、多くの発達障害のお子さんは、本人の力だけでは家族のもとへ帰るのが困難な場合が多いです。
このようなときにヘルプカードがあると、周囲の人達が気づくことが出来るので裏面に記載されている情報を元に連絡してくれたりなどの配慮が受けやすくなります。
~地震や大雨などの災害が起こった場合~
災害が起こった時は、住んでいる環境がどのように変化するか分かりませんし、家族とも離れ離れになってしまうリスクもあります。
また、自力では動けなくなってしまったりどのように家族と連絡をとればよいのかわからなかったりする場合もあります。
そんなときにヘルプカードを提示するだけで周囲の適切な援助を受けられますし、家族への連絡もスムーズに行うことができます。
障がいのある方が災害に備えるという意味でも重要なカードではないかと思います。
ヘルプカードの転売問題とは

このように外見でわかりにくい障がいがある人が、周囲の人たちからの配慮を受けられるように各自治体から無料で配られるのがヘルプカードです。
しかし、近年無料で配布されることを逆手にとってメルカリなどのネット通販で売買されるケースが問題になっています。
これは明らかに違法でありその値段も様々に設定してありますが、中には自治体にまで取りに行くことができない方もいるので、インターネットを利用すれば便利に入手することができるということは障がい者の方にとってはあながち必要性があるとも言えます。
ただ、ヘルプカードは自治体が無料で配布する分、私達の税金でまかなわれています。
ニードがあるとはいえ、ネット上で営利目的に販売することはやはり避けたほうが良いでしょう。
ヘルプカードは自治体が郵送することに対応していないため、今後はその認知度をもっと社会に広げるための広報活動と、郵送を可能にするなどの申請方法の簡略化が求められると思います。
まとめ
ヘルプカードは、外見では障がいが分かりにくい障がい者の方にとっては非常に便利で役に立つカードであると思います。
カードを提示するだけで周囲の人達は一目で配慮が必要な方であると理解できるので、ある意味周囲の健常者にとっても必要であり、知っておかなくてはならないカードであると言えます。
しかし、まだその認知度は社会に浸透しておらず、どのような場合に使用されるのかわからないこともありますし、無料で手に入る分転売されてしまうなどの問題も出てくるようになってきています。
ヘルプカードは、自治体が無料で配布しているものですから大切な税金でまかなわれています。
転売することは明らかに違法ですし、必要な方のニードがあるとは言え営利目的で販売することは控えましょう。
障がい者の方が過ごしやすい環境になるようにするには、もっとヘルプカードが社会的に認知されるようにしていかなくてはならないと思います。